前へ 伝の会TOP 次へ 戻る

鉄九郎の青?裸々な日常 第29号


2000年9月1日〜17日
ヨーロッパ公演の続きです。このときの写真はお〜い伝の会のコーナーでご覧になれます。

9月1日
 9:00a.m.よりTOR6で明日の日本パフォーマンスのテクニカルの打合せ。StadHalle( スタッドホール)に戻り全員着物姿になりTOR6で行われるレセプションに参加。車の手配 もしてあったが、歩いて行く。道行く人は着物姿の六人の陽気な日本人に目を細めていた 。途中からバリのメンバーも加わり、わけのわからない一団に。20:00p.m.「EGO FAUST」 本番。モーべンピックで夕食たべて帰る。

9月2日
 朝、StadHalle(スタッドホール)へ行き荷造りをしてTOR6へ移動。今夜ここで日本 パフォーマンス(溶けぬ雪/伝の会2曲/八島)が行われる。12:00p.m.より仕込開始。TO R6のたった3人のスタッフで大丈夫かとハラハラするが、照明のきっかけなども含め、ほ ぼ時間内に出来あがる。だが舞台稽古をする時間はない。ま、しょうがないか。ここは30 0人位のホールで、お客さんは4日から始まるISTA(国際演劇文化人類学学校)の学者・ゲ スト・参加者の約150人をはじめ、一般の人も見ることが出来るらしい。7:00p.m.開演。 超満員の中、新作舞踊「溶けぬ雪」を。伝の会のコーナー(翫一さんの着替えのための15 分)をやる。「今昔廓一字」を演奏し「もうちょっと時間があるから短い曲をひとつやり ましょう」という邦さんと僕のパントマイムで笑いをとり、トトロツ・チンチリレンをタ カタカっと弾く。最後は「八島」。地唄駒にかえての邦さんの弾き唄いで翫一さんの素踊 り。大拍手の中終演。TheaterLabor(テアトルラバー ここビュルフェルドの演劇祭をと りしきってる劇団。テアトルムンディを招侍してくれている)の人たちのご招侍で「DerKock」という麻布界隈にありそうなドイツレストランで食亊。うーん美味。

9月3日
 今朝はTOR6で行われたバルバ司会のシンポジウムに出演した。新作舞踊「溶けぬ雪 」は、作がナンドという人類学会の偉い人でボローニャの人(たぶん)で、振付が翫一氏 、曲が邦寿氏という特殊な作品。外国の人が作ったものをどうやって日本人が日本の古典 的な手法を使って作りあげたかがとても興味を持つところ。それを一部分紹介したりした 。今後ISTAの期間にバルバが演出を加えることになっている。この形で固めていくと、す ごいものが出来上がるんではと、僕としても楽しみなのだ。一度帰ってランチと昼寝をし て、5:00p.m.TOR6に再び行く。今夜も昨夜と同じ日本パフォーマンスがある。7:00p.m.開 演。「今昔廓一字」のあと「あと3分間あります」と日本語、英語、ドイツ語で言ってみ る。ウケたウケた。トトロツ・チンチリレンを弾いたあと、「ブラボーブラボー」で気を よくする。もちろん全ての演目が終わったあとのアンコール(みんなで手をつないでおじ ぎするやつ)でも「ブラボーブラボー」とスタンディングやら足を踏みならすやらで大ウケ 。おいしいビールが飲めるね。

9月4日
 今日から「モーニングソング」というのがある。日の出とともに演奏し、それをみ んなが聴く。もちろん野外である。ここはまわりが森なので地平線から太陽が昇るところ は見ることができないのが残念だ。今朝はインドチームの15分間の胸にしみる演奏を聴い た。

−中座(ちゅうざ)−

9月12日
 9:30p.m.僕はコペンハーゲンの空港にやってきた。気温は12、3度。雨。「テツク ロウ」というしゃがれた声(失礼)の聞こえた方に目をやるとパトリシアが手を振ってい た。思えば、先月邦さんに連れられボローニャの空港に降り立った時もパトが出迎えてく れた。二年ぶりの再会に抱き合って喜ぶ邦さんを見て「国際人ジャン」と妙なことを思っ たものだ。その後車の中で邦さんが、「このパトリシアというのが、なんでも取り仕切っ ていて、とにかく頼れるアネゴなんだよ」と言っていた(彼女の役職はツアーマネージャ ー)。今僕は、出迎えてくれたパトと涙を浮かべて再会を喜んだ。タクシーに乗り、「う そっ、ホテルじゃなくてホールに行くの?」と驚いて言う僕に、パトはガラガラ笑って「 まだホールでいつものようにテアトルムンディの稽古してるのよ。はいテツクロウ、これ が新しいスケジュールよ」と言って3ページのコピー用紙を渡された。10:30p.m.まで稽古 と書いてある。このとき東京の現実から鉄九郎としての現実に切り替わった。「よし、ホ ールへ行こう、パト。着いたらすぐに三味線弾くよ」10:00p.m.をまわった頃─ KanonHallen(カノンホール)という会場に着いた。「今夜は客席で見てればいいのよ 」というパトに僕は首を振って、仲間のいる舞台にむかった。翫一さん、左恵さん、笹公 さん、マーク、そして邦さん。山台に座って舞台を見回した。舞台にはトルゲ、ロベルタ 、アグースト、ミュージシャンはテンマークのヤン、フランス、カイ。ブラジルのオリー ン、ジョージ、クレバー。インド。パパ、ヨマン、バウワ、セガール、マディ、カトゥた ちのバリ。僕が座ってることに気付いた人が手を振ったり、親指を立てたり、ほほ笑んだ りしている。帰るべき場所に今戻ってきたんだ。

9月13日
 9:00a.m.に部屋をノックされた。なにかと思って出ていくと若い女の子が朝食を持 ってほほ笑んでいた。良かった服着てて。ここHotel9は、日本チームしか泊まってない。 4階までが住居になっていて、5階が貸し部屋になっているようだ。僕の部屋は504号 室でベッド、ソファー、デスク、シャワールーム、トイレはもちろんテレビに冷蔵庫、お まけにミニコンポまで付いている快適な部屋だ。5階には小さな食堂があり、朝食はてっ きりそこでとるのかと思っていた。朝食メニューもいろいろあって、僕の分は邦さんが決 めておいてくれたらしい。パンにバター、サラミのハムにかた茹でのタマゴ、ポットいっ ぱいのコーヒー。一人でゆっくりとる朝食は僕の頭をスカッとさせてくれた。支度してみ んなでホールにむかう。歩いて3,4分の大通りにバス停があり、6番のバスに乗り三つ 目で降りるとカノンホールに着くらしい。どんよりした天気。また雨になるかな。昨夜は 暗くてわからなかったがカノンホールは、小さなショッピングモールの端にある。ISO という大きなスーパーマーケットやフォトショップにカフェバーなどがある小綺麗でファッショナブルな所だ。4:00p.m.リハーサルの合間に街にでてみる。このあたりもなかなか賑やかな ところ。洋服屋さんや、おもちゃ屋さん、サーカス小屋まであった。ほとんどの店が5: 00p.m.には閉まってしまう。あわただしく店を冷やかしISOまで帰ってくると「9− 20」と書いてある。フフーン8時までやってるのか。日本ならいざ知らず、ここじゃ画 期的なことなんだな、と感心した、カフェバーであったかいココアを飲む。コペンハーゲ ンでは「EGO FAUST」を五回公演する。場所が変わりステージングが変わり、エルジェー ニヨ(演出家のバルバ)の頭の中にもいろいろ思うことがあるのだろう、演出面での変化 も多い。今夜も遅くなりそうだ。

9月14日
 昼間の稽古のあと、浴衣姿のまま邦さんと昨日行ったカフェバーに行く。「ハー イおなかへっちゃったぁ」と言って入って行ったら、浴衣姿の陽気な東洋人を見て、お姉 さんびっくり。僕らはこう見えてもミュージシャンなのだと言うと、なおびっくり。こっ ちの人はほんとに驚いた表情をするから楽しい。カルボナーラを食べる。稽古終わってパ トお薦めの寿司バーに行く。うまいうまい。12:00a.m.前にホテルに着く。5階に部 屋があるのだが、エレベーターがない。かといってエスカレーターがあるわけでもない。 階段です。これが結構シンドイ。今夜階段を数えながら上ったら、なんと103段あった 。103段だぜ、3Fで2分は休むの当たり前。邦さんがソーセージをボイルしてくれたので、 邦さんの部屋でワインを飲む。

9月15日
 9:00a.m.の朝食を食べてから、どんよりした天気とだるっとした身体にまか せ、また一寝入り。12:00p.m.すぎになんとか起きてテレビをつけるとオリンピック の開会式をやっている。ドイツの入場だ。そこへ邦さんが「出掛けようぜ」とやってきた 。「今入場行進やってるよ。日本を見てからいこうよ。」「えっ、オリンピックって今年 だったの」「おいおい」異国でみる日本チームの入場。感慨深いね。 ブラッと街にでる。コペンハーゲンにきて四日もたつというのにまだデンマーククローネ (DK)を持っていない僕はずっと邦さんに払ってもらってる。「両替でもしようかな」「 ほんと、俺のためにも両替してくれよ」持っていたドイツマルク1万円分位をデンマーク クローネに替えた。 どうやらセンターと呼ばれている所が華やかなとこらしい。「タクシーに乗ってセンター に行ってくれといったらいいのかな」「どうかな。こっちのほうだったよな。歩いてって みようよ」ということでなんとなくブラブラ歩き始める。身体も鈍ってるし、散歩にはも ってこいの町並みだ。広い車道と広い歩道の間には自転車道が大きく取られている。歩行 者の信号は赤から黄色になって青になる。そして青からパッと赤になる。青の点滅になれ ている我らは突然の赤に「オッと」とか言って走ることしばしば。このあたりはバスがい ろんなコースにまめに走っている。どうやら14番のバスがセンターのほうに行くらしい ので、乗らずに停留所を確かめながら歩く、歩く、歩く。「14番はここで左にまがるん だな」「うん、俺たちは真っすぐ行ってみようか」一時間半くらい歩くと何だか観光地の ようなとこに出た。大きな竹下通りのような道がある。すっごい人だ、西洋人も東洋人も 歩いてる。「にぎやかだね。ここを通るか。ちょっと腹へったなあ」「邦さん、そこに北 京楼というのがあるよ」「なんだよ、中華かよ。デンマークにいるんだから、なにも中華 じゃなくたっていいだろうよ」「おっ、日本語のメニューだよ」「えっ、どれどれ。五目そばかぁ。うーん」「餃子もあるよ」「おっ、餃子もっ、アツシ、ここにしよう」「ビール飲もうか」「おまえね、これから本番だぞ・・・ラージプリーズ」「なにがラージプリーズだ」ランチは五目そばとチャーハンと餃子とツボルク。おなかいっぱいになり再び歩く。お土産屋を除くと、「コペンハーゲン」とカタカナで書いたガイドブックが売っていた。「お っ日本語だ」「今どこだろうね」「このへんの地図が載ってないかな」「しかしさ、まさ かガイドブック見てるぼくたちが、現在地を探してるとはおもわないだろうね」帰りは14 番のバスに乗る。 6:30p.m.「ミュージシャンオンザステージ」という儀式(今までサウンドチェックだ と思って一生懸命やってたんだけど、なんか、ミュージシャンだけで集まってごあいさつ がわりに一曲二曲やっときましょうや。ということらしい。おかしいと思ってたんだ、マ イクも入ってないし)のためにステージに。8:00p.m.開演。エンディングちょっと前 に花火やら一瞬の音が出る大きい線香花火(どんなもんかわかんないなこれじゃ)がバン バンバンバン鳴るのはいいんだけど屋内のステージなもんだから火薬の煙りと臭いが充満 しちゃってもう大変。特にてつくろさんは硫黄とかそういうにおいに弱いのだ。あーシン ド。ホテル帰ってクニトシバーで飲む。

9月16日
 今朝はつらかった。8:55a.m.に起きて朝食を笑顔で受け取り、そのまま寝る 。12:00p.m.すぎ、邦さんのノックでなんとか起きる。なんか疲れがどっと出た感じ だ。2:00p.m.、14番のバスに乗りセンター方面へ出掛ける。昨日は手ぶらだった。 今日は地図とカメラを持っている。人はこれを進歩と呼ぶ。あっ、お店がやってない。こ こもハノーバーと一緒かい。土日は休みかい。駐車場でバンジージャンプ(クレーン車で 持ちあげて)をやっていた。テレビではさんざん見てるがナマではじめて見た。見あげる だけですくむよ。一回6000円くらいだと邦さんが言っていた。 チボリ公園の近くに来たら邦さんが「おなか減ったな」「ここに中華飯店があるよ」「お まえなぁ、好い加減にしろよ。どこに言っても寿司とか中華とかって。コペンハーゲンに いるんだからな」「そうだよね、イタリアンとかが食べたいよね」「おうっ、そういうの がいいな」「あっ、でもちょっと邦さん、ちょっと見てみなよ、このメニュー」「いやだ よ」「んなこと言わないでちょっとちょっと」「えっなにっ、どれどれ。あっ、読める。 日本語だ。アツシここにしよう。今日は焼きそばだな」おいおい、入ってっちゃったよ。 焼きそば、チャーハン、酢豚、マーボー豆腐、ワンタンというヘビーーなランチを食べる 。ゲフッ。ホテルに帰ってちょこっと昼寝。6:00p.m.バスでホールへ。 「なんか、おなか、もたれてない」「ああ、ちょっとな。もう中華はいいな」「うん、も うやめよう、昨日今日で太った感じがするよ」 8:00p.m.開演。12:00a.m.前にホテル着。クニトシバーのおつまみ、今夜はサイ コロハム。

9月17日
 12:00p.m.からカノンホールで翫一さんと左恵さんはデモンストレーション があるという。うれしいことに僕らはフリーとなった。さらに、翫一さんが「笹公さんを 連れてチボリに遊びに行ってきて下さい」という要望があった。気の変わらぬうちにタク シーに乗り「ちぼりプリーズ」「アトラクションとかもあるんでしょ」「ジェットコース ターとかもあるよ」「とにかく178DKのフリーパスチケットを買っとこか。まあたい したものはないだろうけど」「あれ乗ろうよ。高いとこにのぼってっておっこってくるや つ、あれなんて言うんだ」「垂直型絶叫マシーンでいいだろ」「並んでないね」「イイね 、スッと乗りたいものに乗れるのは」とにかくテレビではみたことあるけど、三人とも初 体験ということで乗ってみたが、まーー大変な怖さだった。怖いのだから止めればいいも のを、「一人ずつビデオに撮るから笹公さん、はい、一人で乗りに行って」 とシャレで言ったら「えーっ」とかいいながら乗りにいっちゃったもんだから必然的に僕 も邦さんも一人で乗ることになった。そのときの醜態は翫一さんのビデオカメラに収めら れている。他にもいろいろあって三つくらい乗ったらすっかり気持ち悪くなっちゃった。 汽車が走ってたから「これはのどかに公園を一周するのだろう」と思い、乗ってみたら( すいてるからどんなものかが確かめられない)ものすごい速さで出発してビックリ。ジェ ットコースターだった、ガクッ。しかも一周で終わらず、なんと四周も回る。ああ気持ち 悪い。ジェットコースターは好きなんだけど長時間はいけません。なんとサービス精神の 旺盛な公園なのだろう。全部の乗り物が普通より長いのだ。しかも並ばずに乗れちゃうも のだから二時間でかなりの数のものに乗った。東京ディズニーランドの三日分くらいだ。 フラフラ歩いていると小さな日本庭園を見付けた。「そういえば中国とかインドみたいな 場所があったから日本もあって不思議はないぞ」「中国のとこには中華があったな」「も う中華はいいよ」「そうじゃないよ。ここに日本庭園があるということはだよ」「そうか 日本食」「ツルツルってのがあんじゃないのか」「ちょっとちょっとこの店をごらんよ。 あのテーブルの上にのってるもんをよ」「あっ、キッコーマンだっ」「ここにしよう」「 ちょっと待って、中華だよここ」「中華じゃなあ」そこへ笹公さんが話しかけてきた。「 なんて書いてあるの?」「フライドライス」「なんの?」「えびの」「フライドライスっ て?」「えっ、チャーハンだよ」「ちゃーはん?・・チャーハン。チャーハン」「おいお い邦さん、笹公さん入っていっちゃったぞ」「二日間中華食べてっておれたちのこと馬鹿 にしてたのにね」「チャーハンって聞いたら、日本人の血がさわいじゃったんだろうね」 4:30p.m.楽屋入り。時間があるので僕は舞台で昼寝。何も掛けずに寝たらちょっとゾ クッとした。 いつものように8:00p.m.開演。クニトシバーはマッシュルームとサラミの炒め物でワ イン。

前へ 伝の会TOP 次へ 戻る