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鉄九郎の青?裸々な日常 第30号


2000年9月18日〜30日
ヨーロッパ公演の続きです。鉄九郎が肌で感じた異文化交流が楽しく書かれています。このときの写真はお〜い伝の会のコーナーでご覧になれます。

9月18日(月)
 今までテアトルムンディに来た長唄さんは唄方一人と三味線弾き一人の一梃一枚の編成だった。今回は初めて唄方なしで三味線弾き二人で来た。したがってエルジェーニヨ(演出家バルバ)をはじめテアトルムンディの人達は二梃の三味線の音を始めて聴くことになった。エルジェーニヨは二梃の三味線の可能性をもっと知りたいと思ったし、テアトルムンディにおいても、もっと三味線がリードしてもよいのではと思い初めた。 というようなことでエルジェーニヨがぼくらと時間を持ちたいと言ってきた。
 11:00a.m.よりエルジェーニヨとテアトルムンディのリーダー(たぶん)のギターのヤンと通訳のマークとぼくらが舞台に集まった。まずは「30分くらい君達の演奏をきかしてくれ」というので、「今昔廓一字」「セントルイスブルース」「衣替闇連弾」などを弾く。エルジェーニヨはドイツでぼくらのステージを見ているので「衣替闇連弾」のことはよく覚えていた。たいしたもんだ。あとはエルジェーニヨがテーマを出してヤンとのセッションをいくつかやった。彼らがこれからのテアトルムンディに於いてのぼくらの可能性をどう見たかは不明だが、彼らの考えている可能性というものとぼくたちの考えているものとの確認は出来たはずだ。
 終わると邦寿シェフのランチタイム。実はかねてよりISOで売っているサーモンの刺身を食べたいと思っていた。買いに行くと醤油とわさびも売っている。翫一さんの持っているありったけの白米を作りランチの出来上がり。まあサーモンの刺身のうまいことうまいこと。みんな泣いたね。 ランチタイムの後は昼寝。昨日ゾクッとしたので、かけるものをもって舞台へ。一、二じかん寝ただろうか?やっぱり寒かった。ひょっとすると風邪をひいたかもしれない。
 8:00p.m.開演。なんかボーッとする。やっぱ風邪だなこりゃ。
 10:30p.m.より大打上げパーティ(ほんとは明日千秋楽だが、荷造りがあるという理由で今夜になった)。プレゼントを交換したり写真とったり歌ったり躍ったり・・・別れを惜しみ、再会を約束した。

9月19日(火)
 10:00a.m.に住みなれたHotel9をチェックアウトし楽屋入り。風邪だ。みごとな鼻風邪だ。ボーッとしてる。とにかく舞台で寝る、寝る、寝る・・・。
 8:00p.m.開演。開演中、咳でムセたり、思いっきりくしゃみしたりと迷惑かけることこの上なし。9:40p.m.なんとか無事に終演。片付けをして、0:00a.m.食堂で乾杯。再び各国の人と別れを惜しむ。夕クシーでホテルへ。どうやら空港の近くのホテルらしい。2:00a.m.ホテル着。な、なんと浴槽がついているー。み、みんなー、一ヵ月ぶりに湯舟に入ることができるのだよー。良かったね、良かったね。じゃ、わずかな時間だけど、ごゆ っくり、おやすみなさーい。

9月20日(水)
 5:30a.m.にインド、バリを乗せたバスが迎えにきて、僕以外の日本グループもそのバスに乗り込んだ。・・・そうなんです。僕は一緒の便ではないのです。実は、僕はいっぺん帰国してコペンハーゲンの往復のチケットを買っているのため、最初の予定ではもちろんみんなと一緒の飛行機だったものが変更になってしまったのです。国道沿いの小さなホテルの前で真っ暗な中、僕は目一杯手を振って見送った。無情にもバスは僕を残して出ていきました(当たり前だが)。覚悟はしてたもののやっぱり一人ぽつんと残されるのは寂しいものだと思いきや、眠さが先にたって部屋に入るなり寝入っていました。
 9:00a.m.ちょっと前に翫一さんから電話がある。予約がとれてなくて左恵さんと二人は9:00過ぎの便でアムステルダムに行き、そこでみんなと合流するとのこと。いろいろあるわな、俺は大丈夫かなと一抹の不安が。朝食が9:30a.m.までだから起きて食べときなさいと翫一さんに言われたが、どうにも起きられずパス。それでもなんとか11:00a.m.過ぎに起きてに荷造りしてると、12:00p.m.きっちりにカノンホールのマリアンヌと運転手のお兄さんが僕を迎えにやってきた。10分くらいでコペンハーゲンの空港に着く。マリアンヌは僕のためにチェックインをし、別れの言葉を言い、握手して帰って行った。ただ今12:30p.m.、飛行機は2:20p.m.。さあどうしようか。とりあえずおなか減ってるし、バーガーキングかな。しかし、国内でも一人で行動するのが苦手な僕が、ハノーバーから東京、東京からコペンハーゲンという長時間の一人旅ですっかり慣れたのか、一人でいることが苦ではなくなっているどころか、「のんきでイイナァ」とまで思っている。なんという進歩、人はこうして成長するのだ。もう40だが。
 売店で水と日経新聞を買って機内に。4:05p.m.無事フランクフルトに到着。三度目のフランクフルト空港は僕の中ですっかりおなじみ。東京駅よりあざやか。さてここで5時間近くもどうやって過ごそう。JALカウンターの近くに寿司バーがある。人のよさそうな東洋人が一人でやっている。「きつねうどんがおいしいよ」と言うので頼んでみる。ほんとにおいしい。「にいさんあいしいよこれ。あとシャケロール(サーモン巻)も頂戴」おいしいおいしいと言ってにこにこして食べてると脇をぞろぞろ通る団体がいる。「えっなんだ」と振り向くとクスクス笑いながら日本人の団体が通って行く。笑っているけど無表情。ゾクッとした。もちろん僕もその中に入ってしまえば立派な観光客なんだろうけど、さまざまな国の人といたから目が日本人に慣れてないんだね。ロシアの時もそうだった、個人で海外に行ったりする人なら経験済みでしょうけどね。アメリカ映画で見る日本の団体みたいだーー。気を取り戻してうどんをすすると、クスクス笑いながらゾロゾロ通る。ガリをつまむと、なんだなんだとゾロゾロ通る。いくつの日本人団体が通っただろうか。気が付くと羽田空港みたいになってるーー。寿司バーの主人に「ドルで払いたい」と言ったら、「でもおつりはマルクになっちゃうよ」と言うので「うんうんいいよいいよ」と言うと、ご主人しばらく考えて、「にいさんは東京に行くの?」と聞いてきた。「そうだよ東京に帰るのさ」と言ったら、「じゃ、おつりはこうしよう」とニコッと笑って円でくれた。粋だねー。日本人みんなにやってんのかも知れないけど、ニコッとほほ笑むとこがいいね。
 そういえば、日本人同士でむやみやたらにニコッとほほ笑むことはないな。他の国の人とはまずほほ笑むとこから始まる。朝、「モーニング」と言ってはニコッ、トイレの擦れ違いにニコニコッ、とにかく顔が合えばむこうもこちらもニコッ。仲間ともなれば、目があえば肌を触れ合う。まさしくスキンシップだ。僕にはとてもやりやすい。舞台がうまくいったらニコッ、だめだったら口をあんぐりしてからほほ笑む。なんかわかりやすくていいね。さっきの団体みてゾクッとしたのは、なんかそういうアクションがなかったからなんだね。そんな、ゆったりとした時間が流れてJAL8:50p.m.発の機内に。えっ、一人一人のシートにテレビがついてる。MAGIC2とか言うんだそうで、映画はもちろん機外のカメラやゲーム、電話までかけられるようだ。日本の飛行機は良いね。11時間たっぷり眠るつもりだったけど、映画6本みてるあいだについちゃうぞこりゃ。なんか楽しくなってきた・・・・。

9月21日(木)
 2:45p.m.6本目の映画の途中で着陸態勢に入ってしまった。すっかり寝不足だが、いよいよ日本に帰ってきたぞ。翫一さん、左恵さん、笹公さん、邦さん、マークは9:00a.m.には着いてるんだろうから、今頃ひとっ風呂あびて昼寝かなぁ。みんな無事に着いたんだろうなぁ。などと思いながら到着ロビーで自分のトランクが出てくるのをボーッと待っていたら、伝の会のステッカーが貼ってある銀色のトランクが流れてきた。あれっと思い邦さんに電話してみる。「おかえり」「うん今着いたんだけど、ときに、邦さんのトランク着かなかったん?」「うん。えっ、なんで知ってるの?」「だってサ、今ぼくの前を流れていくよ」「えーっ!!」よく聞いてみると、邦さんたちはフランクフルトでルフトハンザからオランダ航空に乗り換えたらしい。そのとき邦さんの荷物が取り残され、つぎの東京行きの飛行機に乗せられた。その飛行機が僕の乗ったJALだったといことらしい。妙なもんだね。邦さんの荷物が流れてきたときに一瞬「えっ邦さん一緒に乗ってたのかな?」と思ってキョロキョロ探したね。荷物が届かなかった人のためのカウンターで邦さんの手続きをして、成田をあとにした。一人のせいか、「あー帰ってきたんだな」としみじみと思った。その足で西台の大勝軒につけ麺を食べに行く。ああ幸せ。

9月22日(金)
 昨夜僕が帰ったことに喜んだ娘はハシャギすぎたのか、少々熱ぎみ。風邪をひいたらしい。僕ももうひとつ風邪っぽいので一緒に水野医院へいく。

9月23日(土)
 妻も具合がよくない。一家三人で風邪のようだ。

9月25日(月)
 お稽古日。巡業などへ行って毎日おんなじものだけを弾いていると腕が鈍ってしまう。ご多分に漏れず今回もすっかり鈍ってしまった。お稽古がつらーい。手がまわんなーい。

9月26日(火)
 荒川区立峡田小学校で公演。いつものように1~3学年と4~6学年の2回公演。熱心に観て聴いてくれた。

9月27日(水)
 お稽古日。11月18日にやる、邦寿・鉄九郎合同お浚い会「てんの会」のチラシが出来上がってきた。お浚い会のためにチラシを作るという前代未聞の行為に一番驚いているのは出演するお弟子さんたちであろう。

9月28日(木) お稽古日。

9月29日(金)
 幼稚園の保育参観に行ったあと、10月6日の梅屋福三郎師のお浚い会の下俊いのため日刊ホールへ。

9月30日(土)
 恵比寿ガーデンヒルズで伝の会のステージを2:00p.m.~2:30p.m.と4:00p.m.~4:30p.m.と二回演る。ポスター等が「津軽三味線伝の会」とミスプリされていた。せっかく「津軽三味線」と書いてあるのだからと邦さんにちょっと弾いてもらう(CD「第二幕-点心-」にも入ってます)。
 ミスプリは主催者のあやまち。けど聴きにくるお客さんには関係ないこと。主催者に対して怒るのは筋が違う。「津軽三味線」を聴きに来たお客さんに「長唄三味線」も楽しいなと思って帰ってもらうことに最善を尽くせば良いのだ。伝の会が認識されれば、さほど間違われなくなるでしょう。

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