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鉄九郎の青?裸々な日常 第36号


2000年12月30日〜2001年1月8日

12月30日(土)
 何人かのお弟子さんたちと「忘年会のようなもの」をする。僕のとこに来て長唄が好きになってくれたと思う。楽しかった。ちょっと飲み過ぎた。

12月31日(日)
 大晦日。昼すぎになんとか起きる。やっとやっと京都に送る荷物をつくり宅急便に持っていく。なんか二日酔いっぽいな。
 さて、今年も締めくくりの日になった。辰年2000年は前厄で、それに匹敵する位いろんなことがあった。僕の中のなにかが大きく変化した。いままで安穏と過ごしてきて、見過ごしてきたものや目をそむけていたことに面と向かわなければやっていけない状況になった。まあいろんなことにいつまでも知らん顔ではいられないから、良い機会を与えてもらったんだなと思っている。
 伝の会は飛躍の年だったと思う。50〜60回のライヴをやり、活動の場所も広がった。来年もさらに飛躍する年になりそうだと思っている。
 今年一年、いや、これまで応援してくださっている全ての人にあつくあつく御礼を申し上げましてこの世紀をしめさせていただきます。


2001年/平成13年/辛巳
1月1日(祝)
 からすカーっで本厄となり。
 初詣に行く。喪中なので家元への新年のごあいさつはご遠慮した。昼寝したりしてボーッと過ごす。(僕が京都南座での前進座公演に出演のため)子供が「あしたからあえなくなりゅけろげんきでにぇ・・ううえーん」とか言う。礼儀正しく挨拶しながら寂しくなってやんの。「俺、しばらくしたら帰ってくるんだよ」と言うと「えっ」と泣き止んだ。なんだと思ってたんでしょうか。

1月2日(火)
 親子で電車に乗り東京駅へ。妻と子は仙台へ向かう。「じゃねー」「うわーっ、パーパー」「泣くな泣くな、おーよしよし」ってな場面があり、泣きながら手をふり妻に手をひかれ改札を通って行く娘を見送る。ホームに上がればケロッとしてるんだろな、「うんうん騙されちゃいかん」って別に騙しちゃいないんだろうが。そう思わないとこっちがうろたえるわ。
 やってきましたあ、ああんあんっ、と京都ー京都ー。いやーっ、ついたついた。うん、着てしまえばおなじみの駅、おなじみの町並み、おなじみの南座ですな。昨日もおとついもここに居たみたいな気になる。前進座の役者さんたちもおなじみ。長唄唄方は杵屋佐之隆さんと杵屋勝六三さん。三味線方は邦さんと僕と今藤佐敏郎さん。演目は「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿」と「口上」に「魚屋宗五郎」。
 本日舞台稽古。佐敏郎さんはMDできっちり録音している。こうでなきゃいけませんね、家帰ってMD聴いて浚う。そして三味線の手を覚える。きっちりしているな。当たり前か。僕は良かった、知ってる演目で。

1月3日(水)
 初日ー。おめでとーございまーす。黒みすに行くとサトシ(佐敏郎)くん、カセットテープで録音する準備をしている。ほーっ今日も録るのか、芸熱心やなー。みあげたもんだ。えっ、昨日録音できていなかった?えっMDの使いかたをよく知らない?な、なんだよー、私にききなさいよー、あざやかなんだから、えっ、僕がそういうものにあざやかそうに見えない?きしょー、人は見掛けによらんのじゃー・・・
 で、MDはむづかしいのでカセットにしたのね。ちゃんとテープはいってんの?ここにマイクはさむといいよ。うんうん・・・こうして芝居が始まり録音も始まった。一番大事な宗五郎がお酒飲むくだりでカタッとかいってテープおわってんの。アホー、芝居の長さ考えてテープを買ってこーい!

1月4日(木)
 昨日芝居の最後が録れなかったんで今日もとります?どぞどうぞ。マイク向こうに向けたほうがいいんじゃない?うん、いいぞ、はい、なおりますよ。はいっ三味線構えて、弾きましょう・・録音ボタン押し忘れてるよー・・・
 時に、なんでマイクをオフにしてあんの?オンにする録れないんです?いやっ、電池ないんじゃないの?えっ電池入れるんだよ。入れたことありません?どっかに入れるとこあるよ、あったでしょ、えっ、こんな小さな電池あるんですか?単五ですか?ちがーーう、ボタン電池だー、電池を入れるマイクだと今まで気がつかなかったんかー、えっ、そうだよ、それで今までステレオで録れなかったんだよ。ったくのんきだねーどうもっ、そうっ、この種類のボタン電池はコンビニじゃ売ってないからね、電気屋さんで買ってくるんですよ。

1月5日(金)
 サトシくんと交替で来る浩基くんが挨拶がてら芝居を見にくる。譜とテープレコーダーを持っている。えらいね。サトシくんが「ちゃんと録るんだぞ」ってアンタに言われたくないだろーー。

1月6日(土)
 三日もいると生活パターンができる。朝は九時すぎになんとか起きる。シャキッとしない。シャキッと起きるのは何日目だろうか?それとも今がシャキッとてしてるほうなのか?十時すぎにホテルを出発。MD聴きながら徒歩。ボブディランが「ジョーカーマン」を歌うころにちょうど鴨川に差し掛かる。良い天気だと水面がキラキラとしている。空はまっ青。この天気とこの空気がボブディランにどうして合うのだろう?いやいや世の中わからないもんである。と、妙なことを感心したりする。風景と音楽ってなんだ。川の流れに合う音楽はさらさらしてる音楽とは限らない。そんなことはわかってる。感情とか気持ちが入るのか。ではなくて、情景はあとからくるのかな?なんやむづかしいな。とにかく、こんな組み合わせもいいもんだと思った。うん、なにかに役だつぞ。あっ、でもさすがに「天国の扉」はいけないな。やっぱなんかあるぞ。などと歩いていると、どうでもいいことやそれでいて大事なことをフト思ったりする。川を見ながら歩くなんてことは僕の日常ではないことだから毎日の楽屋までの道のりはとても楽しいものだ。楽屋入りしてあっという間に開演。1:20〜2:00p.m.昼食。ヤマモトから出前をとる。すぐ昼寝。邦さんは「さっ、寝るとはなしに横になってみようかな」とおなじみのセリフを言って五分たらずでイビキをかきだす。3:30p.m.昼の部終演。4:00p.m.には夜の部が始まる。もっぺんおんなじことして(ごはんは食べないが)気がつくと、8:30p.m.。「おつかれさまーー」と表に出ると真っ暗。邦さんとどっかでごはん食べがてら飲んで、いや、飲みながらついでになんか食べてホテルへ帰る。やっとこさお風呂にはいって就寝。ほんとに寝るだけ。南座に通ってんのじゃなくてホテルに通ってきてるみたい。いやいや愚痴じゃないですよ。ありがたいことです。

1月7日(日)
 「雪がふってまっせー」「積もってますわ」とか声がする。へーっ雪ねー。と思いながら楽屋でウトウトする。傘ないしなー。帰りまでにはどのくらい積もってるかなー。今年は雪がはやいんじゃないの?と、さまざまなことを思いながら仕事に励む。終演後どれどれと表にでてみるが、まるで降った形跡なし、雪の「ゆ」の字もないぞー。誰だ、わしをだましたのは。それとも夢だったのか。・・・しかし雪はしっかり降って結構積もっていたとのこと。でもそれにしたら、いくら溶けたからといってもどこぞにチラッと灰色になった雪がありそうなものだけど・・・なんかキツネにつままれたような一日どした。

1月8日(祝)
 ラッキーマンデーで今日が成人式どすか、そーどすか。お天気でよござんした。
 はてさて、体調がよくない。そんなに食べたり飲んだりしてるわけではないのに、どうも今ひとつという感じ。東京での健康的な生活が体に染み込んだのか。今日からペースを変えようっと。仕事終わって「わーっ」と解放感につられて飲んだり食べたりするのがよくないのだ。ちょっとのんびりしよーっと。ということで夕食無し。無しでっせ。えーっ、全然平気。ね、食べなくても平気なくらいおなかには食べ物が入ってんじゃん。
 よくあるんだよな。お勤めの人ならお昼はお昼に食べますわな。僕たちは空き時間に食べることになりますね。空いてる時間に食べる。これが意外に危険で、「今食べとかなきゃ」という発送発想にいとも簡単に転化されてしまう。するとどんどん「食べとかなきゃ、食べとかなきゃ」とクレヨンしんちゃんみたいな声で耳元で囁かれることになる。まあ、そんな人ばかりじゃないだろうけど、僕はまさしく「しんちゃん派」。三日も囁かれた日にゃあ、すぐ太る。見事。そいで悲しいかな、年だから痩せない。
「いやっそんなことないですよ、てつくろさん、顔とか細くなったし」
とか言われる。違うのだ!若い時のように顔には肉がつかないのだ。つかないどころか顔の肉は引力に逆らえずにどんどん落ちていんのだー。ほっそりしたんじゃないの、肉が落ちたの。げーっ、何書いてんだろ。まっ、でも現実さ。どんなに若い子だって時間の問題さ。四つの娘を逆さにしたって人相は変わらないけど、俺が逆立ちしたら、人相変わるぜ。弛んできてるのさ、はははっ・・・だ。
 だからね、結局なにが言いたいのかと言うと、一食抜くくらいへっちゃらっていうことさ。へーんだ・・なんか文章が荒くなってきたぞ、ちょっとイライラしてきたぜぃ。もう寝るかな。なんか寝れそうもないな。なんかさっきからグーグー音がするぞ、誰か俺のベッドで寝てんのかー。なわけないか・・・
 あーあ、わかったよ、はいはい、すいません。洋服着ますよ。鍵持ちましたよ。はいはい、こんな夜中にね。そうですよ、出掛けますよ。子供じゃないんだから何時に外行こうが勝手でしょ。えー、あたしの負けです。さっきまでの台詞は失言でしたこれでいいっスか?コンビニ?冗談じゃありませんよ。まだそこのラーメン屋やってるもーん、知ってるもーん。確認ずみだもーん。へーんだ。バタン・・・


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