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鉄九郎の青?裸々な日常 第37号


2001年1月9日〜15日

1月9日(火)
 「ちょんまげタイムス」の原稿の直しを始める。うーん、パソコンがないと不自由だなー、まっ、なんとかがんばってみまひょ。

1月10日(水)
 今夜も原稿なおし。おかげで暴飲暴食しないですむわ。しばらくやって息抜きに散歩にでかける。寒いけど歩いてるうちにちょうど良い感じになった。空気がきれいな気がする。頭の芯までスキッとした。部屋帰って直しの続きをする。五時半就寝。

1月11日(木)
 鏡開き。僕にとっては昨年九月に亡くなった父親の生まれた日。昨年焼肉屋で「お誕生日」を祝った時、それが最後の「お誕生日」になると誰が想像しただろうか。
 京都に来ている今、東京の実家にいつものように生活している気がするし、東京にいたとしても近所に別々に暮らしていたので、実家に行けば会えるような気がする。家で、妻も僕も用事があるとき「ちょっとお父さんに娘を預かってもらおう」と言いそうになる。そのたびに「あっ」と思う。身内がいなくなるということは、細かな現実の変化をひとつひとつ受け入れていくことだったりする。
 実家はお稽古場になっている。お稽古終わって帰るとき、「そのままでいいよ、片付けとくから」「そのままでいいよ、洗っておくから」「そのままでいいよ捨てておくから」と全てをやってくれていた。父がいなくなった今、そのたくさんの「そのままでいいよ」をそのままにしておいてはいけなくなった。随分と甘えさしてもらったなとつくづく感じる。一日お稽古しているときなど、「何時があいてんの?じゃ、〇時にチャーハンつくるか。夜は納豆でいいな・・」などとコックさんまでやってもらっていた。お稽古が終わったお弟子さんたちに一杯振る舞っていたり、亡くなった妻の写真やら僕の子供のころの写真をうれしそうに見せていたそうだ。そんなこと全然知らなかった。お弟子さんたちに「おとうさん、おとうさん」と慕われ、バレンタインデーにはチョコレートをもらい「三月になんとかって日があってお返しすんだってな、チョコもらうのも大変だな」とうれしそうにしていた。
 昨年喪中はがきを作った。妻と二人で、ああでもないこうでもないと文章を直していたとき、文筆業の妻が「おとうさんの喪中はがきを作るなんてね」とワッと泣き出した。「じいじがいなくなってさみしいね」と娘が言った。父の使っていたワープロの中に「敦へ」と書いたフロッピーがあった。大切な事項の中に、頼んでもいないのに、お弟子さんたちの月謝の管理の項目まであった。僕の長髪だったころの写真が父の定期入れに入っていた。身内が亡くなることってその人が大事にしていた物を、家族にそっと伝えること。あといくつ父の思い出が出てくるのだろうか?父が、自分の母と妻の遺品をそのまま手を触れず置いてある意味が心底わかった。ただ惜しいだけではないのだ。そしてその役を僕に託した意味もなんとなくわかるような気がする。「しょうがないな、いいよいいよお父さん、俺がやっとくよ、そのままでいいよ」

1月14日(日)
 サトシくんに誘われて邦さんと三人で「かぼちゃのたね」へ行く。ビール飲むかなぁ、おちついた雰囲気だし、三人で静かに語らいながら、おいしい料理をつまんで、よござんすね、熱燗もちょっとだけならね。いいっすね。はいはい、やっぱりビールで、ええ、三味線弾いてるってねー・・・長唄ってねー・・えっ、そうそう、そういうことよ。あっ、そりゃ違うって、だってさぁ・・・あれっサトシ君帰ったの?あっ、電車がの時間ね。で、邦さんさぁ・・はははっ・・・目が覚めたら六時ちょっと前、ちゃんとベッドで寝ていた。

1月15日(月)
 うーん、頭クラクラするな。冷蔵庫を明けると二リットルの水が入っている。ほぉ、買って帰ってきたんだな。カップラーメンも置いてあるぞ。これも買ったのか。食べるつもりだったのかな?なにを考えてんだか。手ぬぐいとかが洗濯して干してある。洗ったんだだな、これにはなんか得したような気になる。なんとか支度をして南座へむかう。
 良い天気で空気が冷たくて気持ちが良いですわ。歩く速度がだんだんなゆっくりになる。「寒い」を通り越して「冷たい」のだ。耳が痛い。風が吹くと足が止まってしまう。京都の冬がやってきたぞー。楽屋に入り邦さんに昨夜の行動を確認する。なんでも0時前には二人で帰ってきたそうだ。「アツシにしては結構飲んだもんな」と言っていた。はあ、そうなんだ。
 邦さんは今回、飲みすぎて死にそうだということがほとんどない。注意して飲んでいるのか、立派なものだ。邦さんの場合、飲みすぎると記憶がなくなる。帰りにコンビニよってお弁当とか買ってしまい食べる。しかし食べてしまった自分を自分は知らない。なんせ記憶がないんだから。朝起きると弁当箱が部屋の中に散らかっている。「誰か俺の部屋で弁当食ったかー」と本気で思うらしい。「お金がもったいないのと身体に悪いのとで最悪だよね」と言うと、「せめて味でも覚えてればなぁ」と、わけのわからないことを言っている。ともかく邦さんの場合、お酒さえ飲みすぎなければ確実に体重が減っていくのである。へんなの。


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