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鉄九郎の青?裸々な日常 第92号


2003年 6月1日〜30日

コクーン歌舞伎

6月1日(日) 
今月は日曜日から始まるのですね。

さて今月はコクーン歌舞伎の月です。
稽古のときから芝居を見続け、本日ゲネプロです。
三味線はベン(杵屋栄十郎)ちゃん、マサル(松永忠史朗)くん、邦さんと僕の四人。
御簾が狭いので三味線は二人で弾きます。べんちゃん・マサルコンビが前半を、伝の会コンビが後半を担当するということに話は決まったようです。
後半というと「泥場」。義平次が団七に殺されるアノ場面からです。
「しもーたぁ、こりゃ手がまわったかぁ」のセリフのあと義平次を斬り、花道七三で団七の見得があります。それがきっかけで「祇園囃子」という合方がお囃子入りで流れるんですね。勘九郎丈はもちろんのこと、笹野さんの義平次がとーーーーっても良いので祇園囃子の合方にも自然に力が入ります。

6月2日(月) コクーン歌舞伎初日
ロビーで初日の乾杯があって缶ビール2本飲んだ。
帰りの電車で現実に戻る。
スッゲー「夏祭」から2003年の「今」にワープする。
あの芝居のエネルギーを浴びたままに。
すんなり現実に戻れないくらい良い「夏祭」の初日だった。

6月3日(火) コクーン歌舞伎
渋谷の雑多な人混みというのは今や独特のものかも知れない。
駅前の大スクランブル交差点ですれ違うものすごい数の人たちの中に知り合いの一人や二人いても不思議はないのだろう。

交差点であるヒトにぶつかる。
「すみません」とお互いに言い合う。
仕事場へ行き上司と取引先へ行く。
どっかで見た顔だなと思いつつ、名刺交換をすます。
あらためて顔を見合わすと交差点でぶつかったヒトだった。

て、いうようなことがドラマとかにあったりするじゃない。ああいうことが自分の人生にも起こってるんじゃないだろか?数時間後かに知り合うヒトであれば、記憶に残っているかも知れないが、数日後、数週間後、数年後に知り合うヒトだとすると確かめようがない。イ゛ーーーっとなる。なんとか確かめられないものだろうか?

最近来だしたお弟子さんと話してる。
「○○へよく行くんですよ。おいしいですよね」
「○○!僕なんか週に一度は行くよ」
「ときどきお会いしてたかも知れませんね」
イ゛ーーーっとなる。
ぜーーったいすれ違っているはずだ。
隣りのテーブルだったり、入り口でぶつかりそうになっていたり・・・。
「すみません」くらいの会話は交わしているかもしれない。
なんとかして確かめられないものだろうか?
きっと頭の中にはそういう記憶をためこんでいる場所があるんではなかろうか?
ただその情報をひっぱりだすやり方がわからないのではないか?
イ゛ーーーーーっ
「それを思い出してどうするの?」と誰かの声が聞こえてくる。
だ、だってなんか楽しそうじゃない。

6月4日(水) コクーン歌舞伎
自分にとっての有名人ということですね。「自分にとって」というところが大事ね。となりのおばちゃんに渋谷のスクランブル交差点の真ん中でバッタリあった日にゃあ、心臓が飛び出るくらいびっくりするんではなかろうか。となりのおばちゃんは隣りの家にいなきゃいけないと頭に刷り込まれている。垣根越しに話をする姿しかないのね。自分の中での登場人物として出来上がっているのね。スクランブル交差点で出会う人はもっと懐かしい人とかね。同級生とかさ、なんか、あのワーッとした人混みが演出するには、同級生とか幼なじみとかね。

そんなことを考えながらスクランブル交差点を通って109を左に見て文化村に歩いていくのですな。
僕らの楽屋はコクーン内にあるのではなく地下の会議室なのです。洒落たコーヒーショップを通っていくのです。いつものようにエスカレーターで地下の広場に降りていったら、見たような後ろ姿のオトコの人が一人でランチを食べてい るのが見えました。

これこれ、これが自分の中の有名人なのだ。僕の知っている人であって、他の人たちにとっては無名人。しかしいったい誰なのだろう?

「こんにちは」
「よお」
「五月はお世話になりました」
「お仕事ですか?」
「はい、コクーン歌舞伎へ」
「ああ、なるほど。僕はミレー(隣りの美術館でミレーの絵画展をやっている)を見に来たんですよ」
「ああ、びっくりしました。よく似た方がいらっしゃるなと思って」
「ははははは」
・・・中村梅之助さんであった。
「僕にとっての」ではなかった。
立派な有名人でした。

6月5日(木) コクーン歌舞伎
本日は真夏日となった。新しいポロシャツを着て水天宮へ。
お参りじゃないんですよ。ちょいと打ち合わせでゲス。実はですね、九月の伝の会に義太夫の駒之助(竹本)師匠に出ていただくことになったんですね。それでね、ご挨拶にきたんです。それでね、水天宮の駅から外に出たとこで事務所の人たちと待ち合わせしたんですが、僕がねちょっと早く着いちゃったんですね。で、ポーッとしてたら「あつしくーん」と声かけられましてね。僕のことを「あつしくーん」と呼ぶ人はそういないですよ。しかも女の人の声でね。義太夫三味線の(鶴澤)津賀寿さんでした。(津賀寿さんはいつも「あつしくん」と呼んでくれるんですね。うれしいですよ)駒之助師匠と一緒に歩いてたんですね。これからご挨拶に行く駒之助師匠に会っちゃって気まずいですな、はははは。

事務所が引越しましてね。同じ代々木上原の中でね。今、毎日渋谷に通ってますでしょ。渋谷と代々木上原というのは近いのですが、電車で行くとちょいと面倒なんですね。渋谷から半蔵門線に乗ってとなりの表参道で千代田線に乗り換えなきゃいけない。まあ、大したこたぁないんですが、乗り換えるという行為がなんだかめんどうだ。歩いて行けんじゃないかな。まぁ、本州なら歩いていけないとこなんざぁないんでしょうが。そういうことではなくて、「えーっ、あの距離を歩くのー」と驚くほどのことはない距離ではないかと・・・。しかも、コクーンのある文化村、ひいては東急本店のある場所というのはかなり山手通り側でありましてね。で、事務所も以前より山手通り側になったわけでして、よーく考えると山手通りの一本内側の通りをまーっすぐ行って、一回曲がったら事務所なんですわ。予想では30分もありゃあ着くでしょうというので、この暑い暑い中をコクーン歌舞伎の昼夜の間に散歩がてら歩いてみましたよ。まぁ昼公演が終わると午後五時だから、暑いということはありませんわね、どちらかと言えばここち良い風とかがね、ヒューっとね、いやいや、なかなかの感じでした。そしたらですよ、そしたらね、なんと20分で着いたんですよ。20分ですよ。僕が歩くんだからのんびりした速度ですよ。子ども連れのお母さんにぬかれる位の。20分かぁ、いやあ、近い近い。こりゃあ、「歩ける距離」というのではなく「歩く距離」ですなぁ。いやいやそうでしたか。「へへへ、毎日行こうかな」と言ったら、事務所のお姉さんたちがチトひきつっていましたけどね。

6月6日(金) コクーン歌舞伎
昨年ころより、髪の毛を切ってもらってるヨーコさんの所へ行ってきた。早い話が「美容院に行った」ということなんだが、ひとくちに「美容院」というイメージとはちょいと違うとこなのだ。ワサワサしていない。お客さんもいない。僕だけの時間。僕だけのためにやってくれると錯覚するほどの優雅な空間。時間がゆっくり流れていそうな落ち着きのある雰囲気で、素敵な美容師さんがゆっくり切ってくれる。髪の毛を切りに行ってるのに、こんなにもリラックスを与えてくれるものなのかと感心してしまう。
伝の会にもちょくちょく来てくださって、楽しみながら僕の髪形を考えてくれている。
なかなかうれしいことである。

本日の髪形も気に入ったのである。
終わるとエスプレッソをいれてくれる。
優雅だなぁ、おちつくねぇ。

その素敵な空間にヨーコさんが一言。
「あっ、てるえさん(助手といおうか、なくてはならない方)シッカロールとってください」
「・・・・・」
シッカロールって・・・いまどき・・・・。
言ってしまったヨーコさんは真っ赤になって笑いこけていた。
「笑いこける」という言い方もちょいとなつかしー。  

6月7日(土)
田柄小学校の運動会。
小学校になると運動会は初夏にやるのですな。
幼稚園の先生も見にきてくれているので娘もはりきっている。

徒競走が娘は得意だ。
四人で走って四等という順位を守ってきている。

ヨーイドン、ドタドタドタドタ。
今年も笑顔で四等の席にしゃがんでいる。

6月8日(日) コクーン歌舞伎
タマゴのS、M、Lっていうのはタマゴの大きさなんだけど、黄味の大きさは一緒なんだと。

6月9日(月) コクーン歌舞伎
「豆板醤」の「豆板」って空豆のことだったんだぁ。

6月10日(火) コクーン歌舞伎
邦さんがテイクアウトのコーヒー屋さんに言ったのです。暑かったのでアイスクリームもちょっと食べたいなぁと思っていたのでした。というのも、マサル(忠史朗)くんが食事に行くたびにアイスクリームをなめながら楽屋に戻ってくるのを見ていたからです。邦さんは「ああ、自分も食べたいなぁ」とひそかに思っていたのでしょう。店員さんに言いました。「ここは、アイスクリームもあるのですか?」店員さんは真顔で「ココアアイスクリームですね」と答えたのでした。

6月11日(水) 勝新太郎さんの七回忌&コクーン歌舞伎
勝新太郎さんは自分のディナーショーで三味線を弾いていました。「水の流れ」というタイトルでした。
(杵屋)勝錦吾さんがワキについて(松永)和佐次朗さんがいて僕も弾かせていただいていました。楽しい仕事でした。
七回忌を赤坂プリンスでやるということになり、当時の三味線方、囃子方で「水の流れ」を演奏したのです。
良い夜でした。
勝新太郎さんを忍ぶのは当たり前なのですが、楽屋ではもっぱら和佐次朗さんの話でした。
勝錦吾さんは和佐次朗さんの先輩なんです。師匠の先輩に師匠の話を聞く機会というのは滅多にないことです。和佐次朗さんがいたら照れる話ばかりだったでしょう。みんなが「ワサやんがいないのが不思議だ」と言ってました。僕だって不思議だーい。
やっぱり寂しい夜でした。

6月12日(木) コクーン歌舞伎&NHK「いろはに邦楽」収録
雨が降っています。
コクーンの楽屋を17時に出た邦さんと僕は近所(歩いてすぐ)のNHKへ向かいました。17時10分、久々にNHKへ。
実は「いろはに邦楽」という番組、聞いたことはあっても見たことがない。週一回の放送でひと月毎に三味線・琴・笛・太鼓とやってきて、伝の会が出演するのは最終回分。今までのおさらい的なものらしい。三味線が伝の会で、琴がみやざきみえこちゃん、笛がてっちゃん(=福原徹彦)で太鼓がAjoというメンツ。リハーサル室に行くと司会の山田邦子さんとみえこちゃんが練習していた。みんなで「ハンガリー舞曲」を演奏するのだ。僕らも加わり何度か練習しようと言う。「そんなことよりとにかくアイスコーヒーが飲みたーい」とだだこねて、アイスコーヒーと500ミリの水を二本飲んで練習始める。「そいじゃあ」ということで楽屋に戻り、もう一杯アイスコーヒーを頼もうとしたら、メイクのお誘いをうけ断念。着替えもすませるとコーヒーを飲む時間ができた。しっかし喉が乾くものだ。乾燥しているのかと思いきや、スタジオ内は湿気ている。スタジオなのにどうして?スタジオが湿気てた日にゃあ、世の中湿気だらけじゃない。

収録もトントン行った。
テレビ作りは楽しいなぁ。
いや、ほんと。
本気で思ったね。
ムダがなくてね、時間時間でトントン行くのが良いですわ。
そいでいて、余裕がないわけじゃない。

収録終わって外にでたら、雨が僕らを待っていてくれた。

6月13日(金) コクーン歌舞伎
夜公演のみ。
こういう日はたいてい昼間お稽古やら個人的な用事が入っているものだが、本日は「ナシ」。
ヤッホーー、なしなしなしなしなしーーー。
娘を送りだしてから寝ました。寝ました寝ました寝ましたーー。
午後一時目覚める。
休養休養休養ーーー。

娘が帰宅すると久々に家族三人で「大勝軒」へ。
そしてこれまた久々に娘をスイミングに連れていく。 ついでに様子を見てみると、週に二回泳いでいる娘はとうに泳げるようになっていて、先生に言われるままにバッシャンバッシャン飛び込んで泳いでいる。なかなかハードなものだなぁ。ちょいと家に帰ろうとしたら子どもの時から知っている受付のおばさんが、「あっちゃんこれ」と大きな封筒をくれた。「えっ?」「夏のポスターに由宇ちゃんが出てくれたのでその写真です」いつのまに娘のやつ、そんなバイトをしていたのかと思ったら、こないだたまたまポスター撮りをしている時にそばにいたので一緒に入ったとのことだった。思いっきり前歯のない「小鬼」顔の娘がポスターの中に数人のお友だちと写っていた。

6月14日(土) 保谷市こもれびホール
「日本の伝統文化ワークショップ“和”知ろう!ふれてみよう!やってみよう!」というタイトルのイベント。望月晴美ちゃん、福原百七くんと鉄平というメンバー。楽屋について三味線のカバンをあけたら、みんごと三味線が破けていた。朝、出がけに確かめて行くのですよ。そんときは大丈夫だったのです。ショックーー。

6月15日(日) コクーン歌舞伎
楽屋でA君がクラブサンドを食べている。
B「パン、固そうだね」
A「けっこー、固いっす」
C「いくらすんだい?」
A「450円」
D「ほう、安いね」
E「え、高いなぁ」
B「うーん、アメリカだったら45円くらいじゃない」
C「そんなに安かないだろ」
A「これイタリアのなんです」
C「ああイタリアならしそうだね」
F「するかよー」
E「ミラノだったら」
C「するする、あそこはたけーよ」
B「もっと田舎なら安い?」
F「グーッと安くなるね」
E「だいいち、イタリアじゃ、そんな固いパン食べないよ」
D「そうだってね。フランスでもフランスパンは固くないっていうしね」
C「アメリカじゃあパン食ってんのに『米国』って言ってさ、日本は、米食ってんのに『ジャパン』っていうよな」
ABDEF「あははははは」
B「んまいねどーも」
D「気が付きませんでしたな」
E「はははは、腕がよぅござんすねぇ」
F「今のはどこがおもしろいかと言いますと」
ABCDEF「あははははは・・・・」

本日も陽気な長唄の楽屋でございます。
ちなみにBが僕ですね。

6月16日(月) コクーン歌舞伎
コクーンへ出勤のために家を出た途端、みしらぬおじさんに「よぉ、お父さんは元気か?」と声をかけられた。ははあん、父の知り合いなのか。亡くなったことを告げると、目を真っ赤にして悲しんでくれた。こちらもジーンとしてしまいますな。
わかれ際に「しかしお前、そっくりになったなぁ」と言われた。
に、似てきたかなぁ・・・・・。最近太ってきたしなぁ。

朝、ゴミを出しに行ったとき、となりのおばちゃんが
「ああ驚いた。お父さんかと思ったよぉ。あっちゃん似てきたねぇ」
とビックリした顔で言われた。
に、に、似てきたかなぁ・・・・。

6月17日(火) コクーン歌舞伎
という言葉がある。「兎角」と書く。うさぎのつの?うさぎとつの?
「とにかく」が短くなって「とかく」になったのか。
では「とにもかくにも」は?
「とにもかくにも」が短くなって「とにかく」になって、さらに短くなって「とかく」なのでしょうか?
微妙に意味が違うこの三つ、本日の楽屋では、ああだこうだとダイの大人が4,5人でわぁわぁ言っておりました。

6月18日(水) コクーン歌舞伎
電車に乗るのには切符、もしくは定期券。今はそれだけではないですね。メトロカード、イオカード、SUICAもあって。電車に乗り慣れないと「どうしていいのやら?」と呆然としてしまうことにもなりかねないようで。池袋から渋谷に行くにも山手線とばかり思っていたら、埼京線の方がはやかったりする。営団地下鉄から営団地下鉄に乗り換えるときオレンジの改札を通らないと切符をとられてしまう。初めて乗った人はアワアワしないのかしら。まあ、乗り継ぎのオレンジの改札はもう何年も前からのことなので、さすがの僕でも 対処はできます、ええ、あざやかなものです。
「乗り換えは30分以内に」という貼り紙を見つけました。
ずっと前から貼ってあったのでしょうが。
へーっ、30分以内なんだ。
それを過ぎるとダメなのか。
どうやってわかるのだろう?
切符に時間が登録されていて30分過ぎるとはじかれてしまうのだろうか?
カードでもそうなのだろうか?
それとも、「なるべく30分以内にしてくださいよ」ということなのだろうか?
うーーーん。

6月19日(木) コクーン歌舞伎
渋谷駅から文化村までは、お腹が減っている時には歩きたくない。誘惑が多すぎる。らーめん、とんかつ、エスニック、そば、うどん・・・。リーズナブルでサラッと食べられるような食べ物屋が軒並みだ。あらゆるファーストフードも揃っている気がする。お腹が減っていなくても「何か食べなきゃ」と脅迫観念にとらわれてしまう。
目をつぶるようにしてやっとたどりついた文化村。けれどもここに大きな落とし穴がある。僕らの楽屋が東急本店の地下の食料品売場の近くなのである。ついつい足をむけてしまうといつの間にかお弁当を買っていたりする、ああコワ。
食料品売場にはラーメン屋もある。
やっぱり食べてしまった。
まぐろ専門の寿司屋がある。
「まぐろ鮨 空いた小腹にニ、三貫」などと入り口に貼ってある。
一人でこういう所には入れない性格なのでと安心していてはいけない。わざわざ楽屋へ行き三七郎くんを伴ってのれんをくぐってしまう。なかなかうまい。そりゃあ、まぐろ専門なのだからうまいのは当たり前か。「兄さん、もうやめましょうよ。はいお勘定ね。おねーさーん」と腕をつかまれて楽屋に連れて帰られる。
「何か食べなきゃ」が「もっと食べたい」にいつのまにか変わってしまっている。

6月20日(金) コクーン歌舞伎
金曜日。午後十時すぎの山手線。
今日は31度もあったのだ。
べとっとした満員の車内。

新宿に着くと、車内の九割の人々が入れ替わる。
一瞬、席がガラ空きになる。
腰を掛け、文庫に目を落とす。
フト気が付くと「目白」を出たところだった。
本に夢中で、ビックリしてかけ下りたことが何度もある。

「池袋」でゆっくり立ちあがる。
僕の前に立っていた女学生が、小さくガッツポーズをとった。

6月21日(土) 日本橋劇場
「アレ以来ですねぇ」
「アレは面白かったですねぇ」
アレというのは昨年の「伝の会大勝負」のこと。
アレ以来、日本橋劇場には来ていなかったのだ。
本日は舞踊会の地方(じかた)として舞台に立ったのです。
ここの大道具さんたちが僕の顔を見つけて、かけてくれた言葉です。
覚えていてくださってうれしいことです。

6月22日(日)コクーン歌舞伎 
A「今日も暑いね」
B「昼は冷たいものを食べようかな」
C「冷やし中華だな」
D「ああ、邦さんは冷やし中華好きだからね」
E「僕も好きですよ」
F「おいしいよね」
B「この季節にしか食べれないというのがいいんだ」
D「『食べられない』ですね、正しくは」
C「んなの、どっちだっていいんだよ」
E「言葉は変わっていくものですからね」
D「いやいや、そういうところを僕たち大人がちゃーんとしてかなきゃいけないんですよ」
C「ああ、まぁそうだね、で、冷やし中華がさぁ」
D「だいたい言葉使いってぇのは」
A「ああ、そうそうそのとおりですがな」
D「れる・られるとかいうのはな・・・」
A「もうエエがなっ!」
一同(笑)
F「なんの話だっけ?」
A「信州屋だろ?」
B「ああ、てつくろさんが見つけてきた」
E「兄さん、行ってみましたよ、ほんと、おいしかった」
C「なに食べた?」
F「えーっと、なんだっけなぁ?」
D「な、テキトーなんだよ、お前は」
A「ははははは、調子がいいねぇ」
E「いや、ほんとにおいしかったんですよぉ」
B「覚えてなきゃしょうがねぇじゃねぇか」
E「あっ、思い出した」
F「なんだった?」
E「冷やし中華だ」
A「バカだなぁ」
B「バカっ!」
D「アホちゃうぅぅぅ、あっこに冷やし中華なんざぁ、ねぇーよ」
E「その、関西弁と江戸弁が一緒になったようないいまわしやめてくれませんー」
C「だって、冷やし中華はないんだからさぁ」
E「違うの、さっきは冷やし中華の話をしてたってこと」
D「だれが?」
E「みんなで」
D「いつ?」
E「さっき」
D「どこで?」
E「ここで」
D「・・・だれが?」
一同(笑)
E「ぜったい来ると思ったもの」
A「あれだろ?ハンペイだろ?」
B「ははは、ハンペイじゃありませんよ」
F「寛平ですよ」
B「あははは、そうか、吉本の」
F「大阪に行くと見てますね」
A「あははは、俺も見てる。松竹座で、はやく終わっちゃうときに弁当買って」
B「弁当も飽きちゃうよな」
E「夏場なんかね」
F「冷たいもの食べたくなりますね」
A「冷やし中華だ」
D「邦さんも冷やし中華好きなんですよ」
F「あっ、ほんと、僕も好きだよ」
・・・・・と延々に続くにぎやかな楽屋ですな。
ちなみにDが僕ですね。

6月23日(月) コクーン歌舞伎
えっ?ティラミスをダブルで食べるって!?・・・・。

6月24日(火) Zenkon東京大会2003&首相官邸
全日本婚礼美容家協会というのがあります。ご存じの方はご存じでしょうが、美容師さんたちのナニでございますね。僕も今回初めて知ったのですが、僕の頭をやってくださる美容師さんに聞いたら、当然の如く知っておりました。
略して「ゼンコン」。
「留袖着付コンテスト」「和装トータルコンテスト」「打掛花嫁コンテスト」とコンテストがありましてね、たくさんの方で競技をするのですね。全国で大会をして最終的に全国大会をどこかでやるのでしょう。 今日はその中の東京大会です。錦糸町の東京マリオットホテルに参りました。
コンテストの最終審査の所で40分くらいゲストステージというのがあって、そこで伝の会が演奏をということでした。出番になりステージまでの通路を歩いていきますと、そこここに花嫁姿のきれいなお嬢さんがたくさんおりましたわ。そしてちょいと外れたソファーには若いおにいちゃんたちがウワーッといました。彼氏とかなんでしょうね。なかなか楽しい空間でした。

ライヴが終わると、そのまま移動です。
本日はもうひとつライヴがあります。ヨッ売れっ子売れっ子ーーー。

どこへ行く?って首相官邸でさぁね。
えっ?!首相官邸だとーーーっ。
「総理晩餐会」です。
まぁ、予測はつきますね。
晩餐会の時に演奏している弦楽四重奏ね。
そのかわりに邦楽をということなんでしょう。
以前にも古典空間にその依頼がありましてね。
晩餐会で三味線でもなかろうと、お琴にしたのですね。みえこ(みやざき)ちゃんにね。
なんとなくイメージ湧きますわな。
晩餐会にお琴。
うん、こりゃあいい感じやね。
さて、古典空間にとっちゃ今回が二度目の依頼だ。
二度目となりゃあ、ちょっと冒険もしてみようってことでしょうかね(勝手にそう思っているんですが)、伝の会の出番だ。あはははは、いいのかね我らで。
まあ伝の会だけじゃ、しゃべって終わっちゃうという危険もはらんでいるので、あんみ通とジョイントということにしてね。
そうすると、日本の三味線音楽として「長唄と津軽」というものが紹介できますわね。
なかなか頭のイイ感じになりますね。

とにかく楽しみなんです。
だって首相官邸に入れるんだもーーーん。
入れないっすよ、なかなか。 何年か前にきれいになったばっかでしょ。あの時見たもん、テレビで。 竹とかワーッと植えられていてさぁ、ウーー楽しみ楽しみ。

17時30分無事に首相官邸到着。
細かい身体検査とかあると言われていたんですが、なんなく通してくれました。

あんみ通とスタッフの方たちは14時前から入ってるんですね。
リハーサルとかね。音響とかのセッティングだって大変でしょうからね。
でね、一回入ったら、出られないんですって。
ま、絶対に出られないというわけではないでしょうが、フラッと外にはいけないらしいですよ。検査とか面倒なことが多いのでしょうね。
だからね僕たちがにぎやかに楽屋(大きな応接間ですな)に入っていったら、みーんなクタッとなってましたわ、あはははは。

いやぁ、ここかぁってな感じですよ。外務省の人つかまえていろいろ案内してもらいました。
まあ、いつもテレビで見るのがエントランスホールですね。素敵ですなぁ。でね、エレベーターとかも、なんか趣味がいいんですよ。ボタン押すとことかがね。いやぁ、細かいとこまでと感心しました。僕だけ喫煙しますからね、楽屋ではいけないというので喫煙するとこに連れてってもらいましてね。「次からは一人でいっていいですよ」とお許しをいただいたんでね、一人でエレベーター乗ってウロウロしてしまいました(ウロウロはしちゃいませんよ、言葉のアヤです)。

「総理大臣主催 メガワティ・インドネシア共和国大統領歓迎公演」
というのだそうです。女性の大統領でしたね。小泉首相はもちろんのこと閣僚のみなさんとか居てね、僕は政治ファン(?)なのでうれしかったですね。結構ね近いのですよ、距離が、首相との。けっこう目の前で演奏するのだなぁと思いました。僕たちにもボディガードさんとかついてね、いやぁ、海外に行った気分でした。

「てつくろさん、しゃべっちゃいけないですよ演奏だけ演奏だけ」とスタッフに念を押されましてね、スタッフも晩餐会会場の四方に立っているんですよ、こっち向いて。誰をガードしてんだっつうの。ひょっとしたら伝の会がしゃべりはじめちゃったときのために見張ってんのかなと。

20分くらいの演奏ですからね、あっという間でした。
首相喜んでましたね。
インドネシアの曲をね、一曲チラッとやったりしてね、四人で。
公美(あんみ通)ちゃんがアレンジしてね。
公美ちゃんはあざやかなのね、ああいうの、ほんといつも助かりますね。

演奏終わって楽屋でワヤワヤしてたら晩餐会が終わったんでしょうね、もう出てもいいですよと言うので、晩餐会会場の方に戻って写真とったりしましたね。「どこででも撮っていいっすよ」と言われたんでね、ええ、決して勝手に撮ったんじゃないんですよ。今ホームページに載ってますよね、その時の写真が。あの階段でとれたのはうれしいですね。新閣僚って感じのね、でもバラバラに並んでますね。

それでね、解散ですね。
今日はもうひとつあるんですよ。
ヨーーーーっ売れっ子売れっ子売れっ子ーーーーっ。
あわててコクーンにいきましたよ、今九時前ですよ、うまくいきゃあ、まだ間に合う時間なんですから。弾かなきゃね。

6月25日(水) コクーン歌舞伎
タマゴの白身の違いがSMLの違いということを8日に書きましたが、事務所の人たちにもその話をしたところ、「白身が多い卵からかえったひよこの羽根の色は、白身が少ない卵からかえったひよこより黄色が薄いのでしょうか?」と疑問を投げかけられた。

6月26日(木) コクーン歌舞伎 千秋楽
わっ、パトカーからお巡りさんのカッコした串田(和美/演出)さんが出てきたぞー。
わっ、目玉のお巡りさんみたいにピストル二発撃ったぞー。
わっ、お客さんがワーッと舞台にあがってきたぞー。
危ない危ない、楽屋にかえろーーっ。

楽屋で一足早く、長唄さんたちでかんぱーーーい。
酔っぱらったところで、ロビーに移り、一同かんぱーーーい。

6月27日(金)
ポーッとしました。
あの熱気のある空間はもうないのです。
昨日まで毎日作られていたあのすごい熱気はもうないのです。
今日はその熱気にあてられて、マッサージのあとのもみっかえしのような状態です。

6月28日(土) 
「ふとった」
なんと言われようと太った。
人はなんとも言わないだろうがヤバイ。
人生最大に太ってしまった。
「あれ?太った?」
とか言われているうちはまだヨカッタ。
「あ、また太った」
と「?」もつかず、断定的に言われるようにまでなってしまった。

ショウウィンドーに映る自分の姿にガクゼンとする。
父に似てきたと言われるわけだ。
父は太っていた。

「すぐにやせられる」と思っているところがヤバイ。
現に二ヶ月で10キロくらいはやせられると思っている。
なにせ実績があるのだ。
これがヤバイ。
「いつでも何々できる」と思ってしまうことが一番危険な考えだ。

6月29日(日) 
いつでもタバコはやめられる。
いつでもラーメンを食べることはやめられる。
いつでも痩せられる・・・・。

しっかりせねば。
せねば。
せねば・・・。

6月30日(月)
「ねぇパぁパぁ」
「えっ」
「どうしてさぁ、オレンジがあるでしょ?、みかんのことをオレンジっていうでしょ?で、オレンジいろなの?」
「えっ?」
「・・・・」
「ああ、赤はりんご色とは言わないよな、そういうこと?」
「そうそう」
「おお、そうだな。だいだい色というのも橙の色だものな。世間じゃ、肌色でもめたことがあったな」
「もめたって?」
「うーん」
「やせようとおもっておなかをモメタ?」
「?・・・あははは、そりゃあモンダだ」
「あはははは」
「あはははは、さっ、風呂はいろか?」
「うん、はいろはいろ」
「?・・・なんかオマエ、オレに尋ねてなかったか?」
「タズネル?」
「・・・・」
「コンコンってノックして、たとえばぁ、たっきゅうびんやさんとか」
「ああ、その訪ねるもあるわな。さっ、風呂はいろ」
「うん、はいろはいろ」
「?」


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